初心者向けIllustrator講座その① ~ペンツールの使い方編~
目次
はじめに
こんにちは。2DデザイナーのM.Yです。 今回は、Illustratorの使い方についての記事になります!
「Illustratorでペンツールを使って絵を描きたい!」という方向けの記事になります。 なかなか教わる機会が無くて手が出せないという方はぜひ参考にしてみてください。
今回はアールフォースのマスコットキャラ「ファンくん」のイラストを描いてみたいと思います!
実際の作業
●準備
Illustratorを開き、上の「ファイル」→「新規作成」を選ぶとこのようなメニューが出ます。
こちらでカンバスのサイズなどを決めます。(あとからも変えることができます。) 気を付けるのが、「カラーモード」です。 年賀状を印刷したい時など、印刷したい場合には「CMYK」、ウェブ上でイラストを載せたい場合には「RGB」と覚えておきましょう。 今回はRGBでやります。
●下書きを用意する
まずは下書きを用意します。Photoshopで描いたものをjpegにしたり、手書きの物をスキャンしてjpegデータにするでも良いでしょう。
これが下書きです。ラフなものではなく、できるだけ線をきっちり描くとなぞりやすいです。 これをIllustratorに持って行きます。
フォルダから直接、Illustratorのカンバス上にドラッグ&ドロップすると配置することができます。 フォルダからドラッグ&ドロップする方法以外だと、上の「ファイル」→「配置」でフォルダと画像を選択する方法もあります。
この時、フォルダに保存した画像を「埋め込み」します。 上の「ウィンドウ」→「リンク」でリンクパネルを開き、右上辺りの「≡」をクリックして出てくる「画像を埋め込み」をクリックします。
これで埋め込みをしないとどうなるかというと、このIllustratorのデータを、持って来た下書き画像と同じフォルダに保存していないと、次にIllustratorのデータを開いたときに下書き画像が表示されないということが起きてしまいます。
他の人にデータを渡す際などには注意が必要ですね。
ウェブ上でコピーして直接貼り付けた場合などには、埋め込みは不要です。
埋め込みをしないことへのメリットも多分あるのですが私はあまり使いません・・・
ドラッグ&ドロップした後は、カンバスの真ん中へ移動します。
この時、ツールの一番上の「選択ツール」で選択した状態でないと移動できないので注意です。
選択ツールを選んだ状態で画像の上でドラッグ&ドロップ、もしくは矢印キーで移動できます。
いちいち選択ツール選ぶのはとてもめんどくさいので、「Ctrl」キーを押している間は「選択ツール」になりますので、ぜひ活用してください!
選択ツールはIllustratorでは頻繁に使うので覚えておきましょう。
「透明」パネルの「不透明度」の%で不透明度を設定します。
パネルが出ていないときは上の「ウィンドウ」→「透明」で出しましょう。
直接数字を入力するか、プルダウンメニューから10%単位で選択します。今回は細かい不透明度を設定する必要はないのでプルダウンメニューからお好みの薄さを設定しましょう。
「透明度」ではなく「不透明度」なので、数字が低いほど薄くなります。
これで配置できました。
このままだと選択ツールでクリックするたびに選択されてしまって面倒なので、一番下のレイヤーとして設定してロックしてしまいましょう。
「レイヤー」パネルが無い場合は上の「ウィンドウ」→「レイヤー」で出しましょう。
ロックは、レイヤーパネルでロックさせたいレイヤーの横の□をクリックです。南京錠のマークが出ている間はロックされています。もう1度クリックでロック解除です。
ちなみに、その左の目のマークをクリックすると「表示」「非表示」の切り替えができます。下書きを非表示にしたい場合などにも使えます。
線画を描くためにレイヤーを1枚増やしておくのも忘れずに!
(レイヤーパネル右下の、ゴミ箱の左隣のマークをクリック)
●ペン入れ準備
これで下準備ができたので描いていきます。
Illustratorでこういった絵を描く場合、
①線で描き、塗りはライブペイントで
②面で描く
のだいたい2パターンあります。
ゲームなどのデータにする場合は、後から編集がしやすい②でやるのが基本ですが、今回はあまり知られていなさそうな①で説明します。
ツールバー(出ていない場合は「ウィンドウ」→「ツール」)で「ペンツール」を選択します。
下の方にあるのが、「塗りの色」と「線の色」です。白い四角に赤い斜めラインが入っているものは「色なし」です。
(塗りか線の四角をクリックした後、下に小さく3つ並んでいる四角の右のものを選ぶと色なしにできます)
今は線をなぞるので、塗り:なし、線:黒にします。色を変えたい場合は四角をダブルクリックするとカラーピッカーが出ます。
この色は、描いた後からでも変更できるので便利です。
次に線の太さの設定です。
「線」パネル(無い場合は「ウィンドウ」から以下略)の「線幅」から太さを選びましょう。
私の設定では単位が「ポイント(pt)」になっていますが、ピクセルなどに変えたい場合は「ファイル」→「環境設定」→「単位」から変更することができます。
ちなみに線パネルからは線の端の形状を変更したり、矢印や点線に変更したりもできますが、この辺は今回は使いません。
また、線の太さは後からいつでも太くしたり細くしたりできますので、お好みの太さで描きましょう!
●ペン入れ
さあいよいよ描いていきます。
が、フリーハンドではなく「ベジェ曲線」を使って描くので、慣れないうちは大変かもしれません。
ベジェ曲線とは何か?というのを細かく説明するのは難しいので、詳しいことが知りたい場合は検索してほしいのですが、曲線の描き方のコツを順を追って説明したいと思います。
まずこの耳の場合。
描く時は、基本的には端から端に向かって描きますが、途中から描いた場合でも線を繋げられるのでどこからでもやりやすいところから始めましょう。
①書き始めのところをクリックします。
すると「アンカーポイント」と呼ばれる点ができます。
②耳の中間辺りをクリックします。
この時、まだマウスのボタンやペンタブの先を離さないでください。
③クリックしたまま右へドラッグします。
(この時、「ハンドル」と呼ばれる線が表示されます。)
④ボタン(ペン先)を離します。
これ途中まで線が引けました。
③のときに、どの方向にドラッグすれば引きたい線が引けるかがわからない!という方がいるかもしれませんが、慣れていくうちに覚えていくかと思います。色々試しましょう。
もし間違えたから戻りたい!という場合には、マウスのボタンを離している状態で「Ctrl」と「Z」キーを同時押しです。
この操作は絵を描くうえで何度も何度も使う事になるかと思います。
戻しすぎた!という場合には「Ctrl」「Shift」「Z」キーを同時押しです。
ショートカットキーがわからないよ~!という場合は上の「編集」から「ペンの取り消し」「ペンのやり直し」の所にキーが書いてありますし、それを直接選んでも同じ効果が得られます。
このまま耳の端まで書き進めていきます! ⑤耳の中間辺りをクリックしてドラッグ ・・・・・・あれ?線がぐにゃっとして思い通りに描けない?
そうなんです、③でできた「ハンドル」(アンカーポイントから伸びている線)のせいでこのようにうまく線が引けないことがあります。
なめらかな曲線を描く場合には便利な「ハンドル」ですが、時には思い通りの線を引く邪魔をしてしまうのです。
そんなときは、
⑤ ②でできたアンカーポイント(点)をクリックです!
こうすることで、ハンドルが半分消え、これから描く線の軌道が膨らまずに済みます。
こうしてハンドルをうまく使ったり、いい線が引けない時はハンドルを消したりしながら、少しずつでも線を書き進めていきます。
⑥先端をクリックしてドラッグ・・・・・・ ・・・・・・耳が尖ってしまう!!もっと丸みを帯びた耳が描きたい!!!!
・・・そんなときには、一気に端まで描いてしまうのではなく、1本の線を複数の段階にわけて書きましょう。
耳の先の丸い先端を表現したい場合には、この辺りにアンカーポイントを置きます。
2番目に打ったアンカーポイントから離れすぎないのがコツです。
今度こそ気を取り直して・・・
⑥クリックして、離さないまま下へドラッグして、離す
(3つの工程を1つにまとめてしまいましたが、要するに②~④と同じことです!)
これで耳の先端の丸みが描けました。 さあ、今度こそ端まで一気に描きましょう!
⑦ ⑥でできたアンカーポイントをクリック、中間をクリックして離さないままドラッグして、離す、の繰り返しです。
これで耳が一通り完成!長かったですか?慣れれば数秒で終わります。
一旦1つの線を描き終わった後には、
⑧「選択ツール」を選んだ状態でカンバスの余白をクリックして選択を解除
までがワンセットとも言えます。
これをしないまま次の線を描こうとすると、繋がってしまいますので・・・!
線を引き終わったあとに線を微調整したい場合は、ツールバーの白い矢印「ダイレクト選択ツール」でアンカーを選択するとハンドルが現れますので、それをダイレクト選択ツールや、ツールのペンツール長押しで出現する「アンカーポイントツール」でいじることができます。
(「ペンツール」を選択しているときに「Alt」キーを押している間だけ「アンカーポイントツール」になるのも便利ですので覚えておきましょう!)
これでペンツールでの線の引き方はだいたいわかったでしょうか?
ドラッグで曲げながら描くのが難しいよ~という場合には、アンカーポイントだけ先にクリックだけで全部打ってしまって、それが終わってからアンカーポイントツールで曲げるという手もあります。
これを繰り返して線を1本ずつ引いていきますが、よく行きあたる場面とその対処も描いておきます。
●「線を長く描きすぎてしまった!」
Ctrl+Zで戻すと今描いた線も消えちゃうし・・・やだな~~~~
そんな場合にははみだした線を短く調整しましょう。
①選択ツールで、長さを調節したい線を選択
②ペンツールの上で長押しして出てくる「アンカーポイントの追加ツール」を選択
③短くしたいところ(先端にしたいところ)をクリックして離す
これでアンカーポイントが増えました。この状態で、耳に食い込んでいる先端のアンカーポイントを消せば、今打ったアンカーポイントのところが先端になるというわけです。
④ペンツールの上で長押しして出てくる「アンカーポイントの削除ツール」を選択
⑤消したいアンカーポイント(この場合は先端)をクリック
(⑥選択ツールで余白をクリックして選択を解除)
これで調整完了です!
今回は先端なので「アンカーポイントの追加・削除」でできましたが、 線の途中の場合はどうするの?という例も載せておきます。
こんな感じで、中を消したい場合ですね。
そんなときは「はさみツール」を使います。
はさみツールは、普段は隠れていますが、「消しゴムツール」のところを長押しするとでてきます。
①調整したい線を選択
②はさみツールで、「消したいところから消したいところ」を2か所1セットでクリック
します。クリックする度に選択が解除されてしまう場合には、Ctrlを押しながらクリックでその都度選択してください。
これで1本の線を切り分けることができました。あとは余分な部分を削除するだけです。
③選択ツールで、余分な部分を選んで「Delete」キーを押す
(※複数個消したい場合は、1つ目を選択した後Shiftキーを押しながら2つ目以降をクリックでいっぺんに選択できます!)
これで余分な線が消せましたね!
「線の長さがあとほんのちょっと足りない!」
ペンツールで書き足してもいいけど、無駄にアンカーポイントが増えちゃうなぁ・・・
そんなときは「ダイレクト選択ツール」でアンカーポイントを移動させることができます! ツールの上から2つ目の「白い矢印」がダイレクト選択ツールになります。
黒い矢印の「選択ツール」との違いは、「選択ツール」は「全体を選択」することができ、「ダイレクト選択ツール」は「一部を選択」することができます。
ペンツールで描いた1本の線で言えば、 「線1本を全部選択」できるのが「選択ツール」 「アンカーポイントだけ選択」「アンカーポイントの間の線だけを選択」できるのが「ダイレクト選択ツール」です。
①伸ばしたい線の先端のアンカーポイントをダイレクト選択ツールでクリック
②伸ばしたいところまでドラッグして離す
これで伸びました!
ちなみに、今回の塗り方の場合には、線と線をくっつけて隙間を無くさないと色を塗ることができないので注意してください。太い線だから大丈夫!ではなく、太い線の中心を通っている線(選択すると見える線)を繋げてください。
この場合には細い線で見たほうがわかりやすいです。
もっと早く書いて欲しかったですか・・・?この機能を使ってあとからでもやりましょう!
でも、伸ばした分曲線が緩やかになってしまった・・・ そんなときは、ハンドルをいじって調整しましょう。
これを繰り返して・・・線画完成!
赤い部分は、陰影をつけるための線です。
あとで透明にするのでわかりやすく色を付けているだけなのでわかれば何色でも良いです。
あとで透明にする線は、新しいレイヤーに書いておくと、線画と混ざってしまわないので便利です。
おわりに
今回は線画までの初心者向けIllustrator講座を書きました。
次の回ではいよいよ「ライブペイントツール」で色を塗っていきます!
是非お楽しみに!